■ 劇中、オードリー・ヘプバーン主演映画『噂の二人』の話が出てきますが、お二方ともご覧になりましたか。
大谷 はい。すごく残酷なお話だなと思いました。また、あのふたりの間に子供たちがいるからこそというか、やっぱり子供って素直な生き物じゃないですか。でも、だからこそ特に残酷だなと。
花井 子供って、いたずら半分に軽々しく何でも言っちゃいますからね。
大谷 ただし、小さいけど、やっぱり“女”でもあるんですよ。そのことをすごく感じましたね。一方では残酷だし、女性ってやっぱり強いなあと。
金子 今回は高橋美幸さんと一緒に脚本を作っていく中で、『噂の二人』をモチーフにしてもらいたいとお願いして、彼女に見てもらったら、すごく気に入ってもらえて、それで採り入れることにしたんですよ。まあ、あそこまでストーリーを語るのはどうかなとも思ったけど、50年前の作品でもあるし、もういいかなと。また、あそこまで説明しないと若い人にはわからないと思うし。だから、ああいう風に説明しておいて、興味のある人はDVDとかで見てもらえたら嬉しいですね。
大谷・花井 そうですよね。
金子 僕があの作品で記憶に残っているのは、シャーリー・マクレーンがほれぼれするような眼でオードリー・ヘプバーンをすっと見るところで、ああいうのをあなたたちふたりにも表現してもらいたいというのが、それとなくあったんだなあ(笑)。
大谷・花井 ひえー(笑)。
金子 でも日本の女の子って、大概ヘプバーンのことを好きだよね。
大谷・花井 好きですねえ。
金子『毎日が夏休み』の佐伯日菜子も大好きだと言ってたな。
花井 今の子も好きですよ。家にポスター貼っている友達とかいますし。
金子 逆に今のスターで、女の子が好きなカリスマって誰になるのかな? 僕だとニコール・キッドマンの出ている映画は絶対見るようにしているんだけど。
大谷 私は邦画ばかり見ちゃうんですよ。
花井 私もこの世界に入るまでは有名な洋画ばかりだったんですけど、今は邦画を積極的に見るようになりました。繊細ですよね。
大谷 良い役者さんも多いものね。
金子 そうなのか!(笑)
大谷 特に単館系とかで公開されるインディペンデント作品って、邦画のほうが強い気がしています。
花井 私、自主映画の現場をよく見に行くんですけど、すごく自由で面白いですよ。
■ でも、その意味では金子監督も自主映画ではないけど、フットワークの軽い活動を続けていらっしゃいます。
金子 まあ、現実はそう単純でもないけどね(笑)。ただ、この作品に関してはストーリーが面白かったことと、新しい女優さんを生み出せる期待感があって、純粋にやりたいと思ったんです。まあ、もう少し時間があればあったで良かったとも思いますけど。最後の方はもうフラフラだったもんね、みんな。
大谷・花井(笑)
大谷 私、叶子の彼氏役の川村亮介君から、私が落ち込んでいるシーンの顔がすごい不細工で良かったって言われました(笑)。普通に受け取ったらアレですけど、役者としては役の心情がちゃんと顔に出ているわけですから、いいのかな。
花井 叶子はすごく寂しくて心の中で孤独を感じているのに、それを表に出せなくてゆうちゃんに助けを求めている。最初は毒を撒いたりして翻弄していますけど、最終的には叶子が助けられるんですよ。
■ ラスト、数年後のふたりの再会画描かれます。その前のクライマックスから空白の時間、ふたりはどのような別れをしたのか想像してみたことはありますか。
大谷 私、現場ではあえてそのことを考えないようにしていたんですけど、多分やっぱりお互い心に残っているということは、きっと綺麗な別れ方というか、学校を卒業して何となく連絡を取らなくなっていいたような、そんな感じの別れだったのではないかと思います。
花井 ふたりで話し合って別れた、みたいなことではないような気はしますね。自然の流れとでもいうか。
大谷 夕紀が叶子の彼氏に「お前ら気持ち悪い!」って現実を突きつけられるシーンがありますけど、私の中ではあそこで全てが終わっている感じがしているんです。その後、叶子が来て「やっぱりゆうちゃんがいい」って言われるシーンがあって、でもそこでふたりの終わりが見えたというか、全てが死んでしまったという感覚になって、その後ふたりで抱き合って想いを確かめ合うようなことをしてみたけど、やはり修復はできなかったという風に、今は見えるんですよ。それが痛いというか切ないというか、だからあの時点で全て終わったなと思いながら演じていました。
花井 私はその「やっぱりゆうちゃんがいい」というバス停のシーンで助けを求めていますし、そこで本当に彼女のことが好きになったんですよね。もともと叶子は好きという感情に曖昧だったのが、彼氏にふられたことでゆうちゃんに助けを求め、その後ベッドの上で、ちゃんと向き合ってほしいと思って裸になった。それが叶子なりの最大の愛情表現だったんですよ。でも、いざその段になって、心から好きなのにどうして出来ないのかというところで、叶子も「違うんだ」ということに気づいたんだと思います。
■ 監督は、今のお二方の解釈をどう思われますか。
金子 まあ、僕はただそんな彼女たちを撮るだけですから(笑)。でも、本当に良くやってくれましたよ。だから今度本当にカラオケに行きましょう(笑)。で、ふたりは少女時代とピンクレディーを歌ってね。
大谷・花井 はい!(笑)